ぽんぽんぼん



さらさらの黒髪を無造作にワックスで遊ばせていて、細い一重の目。スッと通った鼻筋。梶木君は見た目はクールタイプだろう。


そして中身もクールを飛び越えてなかなか冷たい。


結構、グサグサと心に刺さる言葉を投げかけられる。


でも、でも、やっぱり彼から香るこの甘い匂いは格別なんだ。



椅子にストンと座った彼の前に行き床に膝をつくと、彼の机に頬杖をつく。


座っている彼と目線の高さが同じ位になるこの場所からの、匂いが降ってくる感じが堪らなく好きだ。



「だって、梶木君のこの匂いを補給しとかなきゃ1日がやり過ごせないよ」



へらっと笑ってそう言う私に、当然の様に蔑んだ目を向けてくる梶木君はいつもと今日も変わらない。



「じゃあ、明日は休みます」


「嫌ー!学校来てっ!お願いだから!」



淡々と言われたその言葉にガバッと彼に顔を近付けた。



梶木君が学校休むとか絶対に嫌!


だって梶木君が休んじゃったら、匂い補給出来ないよ!


そんなの絶対に、一日やっていけない。



私の必死の懇願を目の当たりにした彼は、はぁっと溜め息を吐くとポツリと言葉を漏らす。



「冗談だけど」



それに心底ほっとして「良かったぁ」と胸を撫で下ろす私は、本当に梶木君のこの匂い無しでは生きていけなくなりそうだ。


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