ぽんぽんぼん
「あっ、そだそだ。言い忘れる所だった!」
「何を?」
首を傾げる梶木君を前に、スカートのポケットに手を突っ込んで昨日梶木君から貸してもらった縞模様のハンカチを取り出した。
「これ、ありがとう!」
両手でハンカチを持って丁寧に差し出すが、梶木君はそれを受け取らない。というか、手すら出してくれない。
「別に返さなくても良いんだけど」
手も出さずにそうボソッと言う梶木君。
もしや、私が返してこないと思ってたから返さなくても良い物を選んで私に渡してたとか?
「えっ!借りたら返すよ、流石の私も!次いでに洗ってありますので!」
流石の私も人の物を借りパクなんてしないよ!
梶木君の物だぁって昨日はひたすら匂いを嗅いだけど。
あらぬ疑いを掛けられていた事にぷうっと頬を膨らませると、梶木君がそうじゃなくって…と声を漏らす。
その後に続いた言葉に目を丸くした。
「ハンカチ位あげるけど」
「も、貰えるの!?」
梶木君の口からさらっと『あげる』なんて言葉が出てくるなんて思ってもみなかった。
梶木君のハンカチ、欲しい!
貰えるのなら!
「別にそれ位良いけど」
「あ、ありがとう!」
まさかのオッケー!
何だか今日の梶木君はいつもより優しい気がする。
そう思って思わずへらっと頬が緩んだ時、別の考えが頭に浮かぶ。