ぽんぽんぼん
折角の大チャンスの風向きがやって来たのを、そんな事を口にしたら、みすみす見逃しそうだと判断したからだ。
一度失敗していれば、そういう知恵だって付く。
深呼吸をしてから「でも…」と発した言葉は我ながらしおらしい反応になったと思う。
それにいつもと違った反応だと気付いたのか、プイッと私から顔を逸らした梶木君の耳がほんのりと赤く染まっている気がするのは、私の思い違いだろうか。
「僕が良いって言ってんだから、良いんだよ。うだうだ煩いよ、森山さん」
ぶっきらぼうにそう言う梶木君は何だか可愛く見えて、フフッと笑ってしまう。
「梶木君。ありがとう!」
ニカッと歯を見せて笑う私を逸らしていた視線を戻し、じとっと見つめる梶木君。
「その顔、ほんと不細工だから」
言葉一つでその場のふわふわした雰囲気を打ち消してしまうのは、流石だ。
ズキッ!と胸に突き刺さるその言葉。
不細工なのは知ってますが、そんなドストレートに言われたらいくら私でも傷付くんですが……。
「不細工ですいません。以後見せない様に努めます」
ガクッと肩を落としてそう言う私に不適な笑みを向けてくる。
「別に、僕の前では良いけどね」
その言葉に思わずドクンッと跳ね上がる心臓。
と、共に火照りだす頬。
そんな自分の変化を無視する様に、心臓の部分を押さえて口を開く。
「な、何で?」