ぽんぽんぼん
えっと、……梶木君は何を言ってるんだい?
ワーク、…ワーク、ワーク。
あっ、そういえばどことなく聞いた事がある気が……。
突っ伏していた体勢を元に戻すと、ツーっと冷や汗が背中を伝う。
「…………今日だっけ?」
そんな中、口を動かした事で再び動き出した私の時間。
「森山さんって、やっぱり馬鹿だよね」
「えっ!?マジで今日ですか?」
呆れた視線を私に向ける梶木君にグイッと顔を近付けると、彼の眉間に皺が寄る。
そして私からプイッと顔を反らして、スッと右手の人差し指を教壇の前にあるスチール製の教卓に向けた。
「見てみなよ、教卓の上」
梶木君の細くて綺麗なその指を辿る様にゆっくりと視線を動かせば、当然が如く、教卓の上に積み重ねられた生物のワークが目に入る。
「あ、あれは……」
震える声でそう漏らすのがやっとだ。
本当は見たくなかった。
「もうすぐ先生が取りに来るんだろうね。ご愁傷様」
いつもながらザクッと刺されたその瞬間、
「ノ、ノオォォォォン!」
頭を両手で抱えて大絶叫する。
それ位、やってしまった……という状態なのだ。
なんせ、この生物のワークの宿題を提出しなかったら一学期の生物の成績が赤点になるとか、なんとか言われていたと思う。
「煩いよ、森山さん」
しれっとそう言ってくる梶木君の言葉も頭に届いて来ない。