ぽんぽんぼん
そして梶木君は自分の机に頬杖をついて、私にとどめを刺す。
「哀れ、森山さん」
ふらふらとその場の床にへたり込む。
もう、立ってる力も残っていない。
ちらっと梶木君の顔を窺いながら口を開いて首を傾げる。
「どうなると思います?」
「何か宿題を言い渡されるのは間違い無いだろうね」
「ですよね」
私もそう思ってた所だよ。
こんな所は梶木君と意見が合う。間違い無いって事だ。
確信したくないけど、確信してしまう。
カクッと頭を下げて床に視線をさ迷わせた時、また絶妙なタイミングでチャイムが鳴り響いた。
昼休みにトイレ終わりに鼻歌混じりで廊下を歩いていると後ろから名前を呼ばれた。
「森山!」
その声は今は聞きたくなかったもので、ハキハキとしたその呼び声が鬱陶しくさえ思う。
それでも、足を止めてロボットの様にカクカクと首を動かし後ろを振り返るのは、振り返らざるおえない状況だから。
振り返った先にいるのは、おっさん臭が自棄に鼻につく原田先生だ。今日は珍しく白衣を羽織って立っている。
「あっ、何ですか?」
何とかへらっとした笑いを浮かべるが、その笑いが気に食わなかったらしく眉間に皺を寄せられる。と、共に飛んで来た声。
「何ですか?じゃねぇだろ、お前!生物のノート提出出来て無かったぞ!」
来たあぁぁぁぁぁあ!
やっぱり来たよ、これ。
「あっ、はい。知ってます」
苦笑いを漏らしてそう言うのは、もう諦めの境地に入っているからだと思う。