ぽんぽんぼん
「いやー、あのー、梶木君って自分の事しか興味無さそうだったから」
思っていた事がポロッと口から出ると、思い切り睨み付けられる。
こ、怖っ!
いつも淡々とした口調だから、いまいちハッキリとは分からないけど、梶木君のこの態度とかは、私にだけじゃなくて友達とかにも同じ。
だから、ちょっとそう思ってたんだけど、……違いましたか?
「まあ、基本そうだね。だけど森山さんに言われるとかムカつくね」
合ってたのか!っていうか、
「何で!?」
「何で?って森山さんだからに決まってるでしょ」
全然、理由になってませんが……。
いや、もう、……酷いよ梶木君。
「で、森山さんはいつになったら離れてくれるわけ?」
その言葉で自分の今の体勢を思い出す。
するすると梶木君に近付いて彼の匂いを吸い込むと同時に彼の胸へと顔を押し付けていたのだ。
顔というよりは鼻という方が正しいかもしれないが。
直ぐに引っ掴んで剥がされると思っていたのだが、梶木君が何もしないでそのまま会話を続けていたから、ずっと梶木君の甘い匂いを堪能していた訳だ。
「梶木君が引っ掴んで剥がすまで」
息込んでそう言うと、本を持っていない方の手でギュッと梶木君の胸元の服を掴む。
それまでは離れません!
自分からこの幸せな場所から離れてなるものか!
だが、梶木君もそのまま私を放って置いてくれる訳もなく。