ぽんぽんぼん



それに対して、森山さんアホだね。と言ってふわっと大きな手を私の頭に乗せる梶木君。


その後、わしゃわしゃわしゃと髪を乱されたが、その手から伝わってくる温かさに思わず頬が熱くなった。



何、これ。


凄い、……照れる。



照れる私を他所に、私の頭から手を離した彼は、再び雑誌に目を落とす。


ドキドキと鼓動が煩い。



なんか、…もう、……梶木君って狡い。



真っ赤になっていると思う顔を隠す為に下を向いて、何を書いているのかよく分からない状態で論文を書いていく。


ちらっと横の梶木君を盗み見ると、全く私の方なんか見る気配すら無い。



ドキドキしているのは、私だけ。


梶木君って、やっぱり何か、……狡いよ。



顔を机に突っ伏すと、隣の梶木君に聞こえない位の小さな溜め息を一つ吐いた。



それから1時間以上たっただろうか。


書いていた論文の最後の『。』を書ききった所で、声をあげた。



「終わったー!」



清々しい程の達成感。


やっぱり何かをやり遂げるっていうのは気持ち良い。



私のそんな様子を見てか、隣から梶木君が首を傾げながら口を開く。



「終わったの?」


「うん。終わった!」



ニカッと歯を見せて笑うと、ふわっと微笑む梶木君。


その途端、ぼんっと一気に顔が熱くなる。



な、何これ!?


梶木君の笑顔見ただけで、心臓が煩い。



心臓の部分に手を当てている私の横で、私のそんな様子なんて全く気付いていない梶木君は、開いていた雑誌を閉じながら私へと顔を向ける。


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