ぽんぽんぼん
「じゃあ、帰るから早く準備して貰える、森山さん」
うん。梶木君、帰るんだね。
……ん!?
「えっ!?梶木君も帰るの!?」
課題が終わった私が帰るのは当然だけど、梶木君も!?
何故にこのタイミングで!?
「帰ったら駄目な訳?」
目を見開いて驚く私に睨む様な視線を向けてそう言ってくる。
そんな梶木君に駄目なんて事を言える筈も無く、
「いや、全く、そんな事は…」
ぶんぶんと首を横に振って否定の言葉を吐く。が、そこで言葉が止まってしまう。
「何?」
その『何』の言葉には、何か言いたい訳、森山さんの癖に。が含まれているのは間違いない。
「無いです」
その言葉と共にただただ彼を見つめる。
自分の顔が赤くなっているだろうと分かってるのに、彼から目を逸らせないんだ。
私の反応を見て、クスッと笑う梶木君から。
でもそれだけじゃ終わらなくて、座っていた椅子から立ち上がった梶木君から掛けられた言葉にドクンッと心臓が跳ね上がった。
「とてつもなく面倒臭いけど、僕が森山さんにアイスを恵んであげるよ」
「な、……何で?」
ドキドキし過ぎて言葉を紡ぐのがやっと。
「それなりに森山さんが頑張ってたからじゃないからね。また、アイス食べられない分とか言って匂いを嗅ぎに来られない為にだよ」
そっか、……そりゃ、そうだ。
さらっとそう言われてしまった所で、今度はズキンッと胸が痛む。
その痛みを忘れる様に無理矢理ニカッと笑う。