ぽんぽんぼん



「何で!?」



思わず横になっていた身体を起こして首を傾げる。



私だけじゃ決められないって、何で?


私の事なのに?



電話越しに首を傾げる私が見えているかの様にはるるんのクスクスという笑い声が耳に響く。



『何でって。あのね、梶木が泉と付き合いたいと思わなかったら無理な話って事よ』


「あっ、そっか」



そりゃそうだ。


私が梶木君が好きで付き合いたいって思ったとしても、梶木君が私と付き合うなんて嫌だと言えば、そんな願いは叶わないんだ。


恋って複雑で、難しい。



『で、泉はこれからどうするの?』


「うーん」


うなり声をあげたまま、頭を捻る。


どうするの?と聞かれても、どうしたいのかも分からない。


梶木君の事は好き…なんだと思う。


友達としてじゃなくて恋ってやつだってのも承知済み。


でも、付き合いたいか?って聞かれたら、まだそうでも無くて。


強いて言うなら、今の関係が凄く心地良い。



「暫くはこのままで……は駄目かな?」



不安気な声でそう尋ねると、何で私に聞くかなー。と馬鹿にされる。



『駄目じゃないわよ。泉がそれで良いなら』



私の考えを一番にしたらいいとさらっと断言するはるるんは、やっぱり私のお母さんみたい。



「うん。良い!」



電話越しでも笑顔が漏れる。


が、はるるんは笑顔ではないらしい。



『あっそ。つまんない』


「何で!?」


『えー、だって折角面白そうなイベントか発生するかと思ってワクワクしてたからに決まってるでしょ』



楽しみにしてたのっ!


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