ぽんぽんぼん
嫌われてるのはやっぱり嫌だなぁ。
出来れば、梶木君も私を好きになってくれないかな……なんて、無理かも。
匂いを嗅ぐという衝動を止めない限り、好かれない気がする。
それは、…………ムリだぁ。
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ガラッと教室のドアが開くと、梶木君が今日も怠そうに入って来る。
そんな梶木君に、
「梶木くーん!!」
と叫びながら駆け寄って行く私。
昨日、梶木君の匂いだけではなくて梶木君が好きだと気付いて、今日彼と対面する。
ビックリする位いつも通りだ。
これでも結構悩んだんだ。梶木君の匂いを嗅ぐのを諦めるかを。
でもでも、やっぱりあの甘い匂い嗅げないなんて一日がやっていけない!
もう、あの匂いは私の必需品となっているんだと思う。
「梶木君、今日も素敵な香りがプンプンしてますね!」
梶木君の制服に鼻をくっ付けてすぅっと息を吸い込む。
いつ嗅いでも良い香り。
梶木君からぽん菓子の香りがしない日なんて無い気がする。
梶木君の匂いを堪能していると、ガバッと頭を掴まれてそのまま梶木君から引き離される。
視線を上に向ければ、私をザクザク突き刺す様な冷たい目。
「制服に鼻くっ付けないで貰える、森山さん」
「大丈夫!鼻水は出てないから!」
そうへらっと笑って言ってしまえる自分の慣れが怖い。
というか、この感じで考えると梶木君に私が好かれている可能性は限りなく低いんだろうな。
あっ、何だろ。……地味にへこむ。