ぽんぽんぼん
「そういう問題じゃないんだけど」
梶木君の眉がハの字に垂れ下がる。
そして呆れた様な声音で降ってきたその言葉に首を傾げた。
「じゃあ、どういう問題?」
「馬鹿な森山さんには一生かかっても分からない問題」
「酷っ!」
叫ぶ私に蔑む目を向けて「アホ」とだけ言い放つ梶木君。
彼はそのまま椅子へと腰を下ろす。
つ、冷た過ぎる!
そう思った瞬間、ズキッと胸が痛む。
あっ、これ。
私、傷ついてる?もしかして、梶木君に優しい言葉を掛けて欲しい…とか。
「もっと優しい言葉をプリーズ!」
「何それ?かなりうざいんだけど」
流石、梶木君。返しまで心にグサグサ突き刺さる。
今のできっと心臓に亀裂が入った。絶対入った!
「うざくないです!愛故です!」
唇を尖らせて文句を言うと、フッと鼻で笑われる。
完全に馬鹿にされてるこの現状。
私の恋心はズタボロだ。
唇は尖らせたまま、視線だけを少し下に向けた時、
「愛って、…匂いにでしょ?」
梶木君がそんな言葉をポツリと呟く。
この前まではそうだったけど、今は違う。
でも、それを今口にして良いものか迷う。
だから、
「あー、それはー……」
と苦笑いをしながら言葉を濁すのが私の精一杯の答えだったのだが。
その瞬間、梶木君の眉間に皺がグッと寄り不機嫌顔へと変化する。