彼は、魔法使い
「抱きついてたら、スタイリングが崩れちゃうよ?」

「えっ、それは困る」


そして、パッと離れる。


「せっかく、芹香さんにセットしてもらったのに、、、」


そう言って、崩れていないか確認する、奈々ちゃん。


「大丈夫だよ」

「よかった~。本当に、ありがとうございました」


奈々ちゃんは、嬉しそうに言う。


、、、ありがとう、か。


「ありがとう」を奈々ちゃんに言わなきゃいけないのは、あたしの方だ。


「ううん。ありがとう」


そう言うあたしに、奈々ちゃんはキョトンとする。

< 122 / 343 >

この作品をシェア

pagetop