彼は、魔法使い
だって、あたし達兄弟は、、、


お父さんの背中を見て、みんな「スタイリスト」と言う道に向って歩いていた。


なのに、そのお父さんはスタイリストを辞めた。


『あの店以外で、俺はハサミを握りたくないんだ』


その言葉が、少し寂しかった。


「奈々ちゃん。來都と仲良いんだね?」

「あ、でも、、、好きとか、そんなんじゃ、、、」


、、、好きなんだ。


奈々ちゃんの様子を見たら、わかってしまう。


「寂しくない?好きな人が、遠くに居るって?」

「だ、だから、、、」


あたしは、そんな奈々ちゃんに笑いかける。


「、、、少し、寂しかったです」


きっと、少しどころじゃないんだろうな。


奈々ちゃんと來都は、小さい頃からずっと一緒だった。


だから、尚更寂しいよね?

< 126 / 343 >

この作品をシェア

pagetop