彼は、魔法使い
__パンパンッ__


「ほら、今日はテストの日だろ。テスト受ける奴はさっさと準備しろ。他の奴らは練習」


手を叩き、直樹さんは仕切り直す。


「志麻も芹香も自分の仕事が終わったなら、帰れ」


そして、何故かあたしと志麻さんまで言われる。


言われなくても、帰りますよ!


みんなが動き出す中、あたしは來都のカットを鏡越しに、もう1度見る。


、、、これが、來都のカット。


來都はスタイリストとして、まだあたしの下にいるんだと思っていた。


生まれたのも、ハサミを握ったのも、お店に立ったのも、、、


全部、あたしの方が先だった。


だけど、來都はいつの間にか、あたしと同等に、、、


いや、、、


スタイリストとしては、前を走る人間になっていたんだ。

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