彼は、魔法使い
それに、あたしは緊張する。


「けど、1つ教えてくれないか?」

「なんで、しょうか?」

「芹香ちゃんは、どうしてスタイリストになろうと思ったのか」


鳴海さんは、至って真剣な眼差しで聞いてくる。


「これは、うちで働くスタイリストやアシスタントの子たち、皆に聞いてることなんだ」


そう、教えてくれた。


あたしが、スタイリストを目指した理由。


それは、、、


「やっぱり、お父さんの影響だったと思います。大好きなお父さんと、肩を並べたくて」


同じお店に立ちたくて、、、


「でも弘美(ひろみ)は、もうスタイリストじゃない。なら今、芹香ちゃんが美容師を続ける理由は?」


鳴海さんは、お父さんの名前を口にする。

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