彼は、魔法使い
あたしの言葉を聞き、鳴海さんは笑い出す。


やっぱり、大の大人が「魔法」なんて言ったから、、、


そう思い、恥ずかしくなる。


「魔法、か。そんなこと昔、弘美が言ってたな」

「お父さんが?ですか」

「あぁ。美容師(スタイリスト)は魔法使いだって。その時、俺はおかしくて、弘美のことをバカにしたよ」


それは、あたしも同じだ。


「魔法」なんて、バカげてるし。


「でも、今なら少しわかるかな。目の前に、魔法使いが居るから」


鳴海さんは、あたしのことを見る。


「芹香ちゃんが手掛けた、スタイリングを全て見させてもらった。同じ人間でも、こうも変われるのかと思ったよ」

「、、、ありがとう、ございます」


鳴海さんは、首を振る。

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