彼は、魔法使い
「あのさ、早く始めてくんない?」


って、なんで來都は偉そうに命令してくるわけ?


あたしはため息をつき、手袋をする。


やれば良いんでしょ、やれば!!


ムッとしながら、カラーを始める。


あたしはなるべく早くカラーを終わらせようと、急ぎ足でカラー剤を髪に塗っていく。


カラー剤を塗り終え、タイマーを押す。


「早い、ね?芹香ちゃん」


瑞穂さんが言う。


「カラーやスタイリング、メイクは得意だったもんな。アシスタントの芹香さんは」

「それしか、やらせてもらえなかったんです」


あたしの言葉に來都は口を閉ざす。

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