彼は、魔法使い
1度お店に戻り、あたしは自分の荷物を手にし、挨拶もしないでお店を後にした。


家に着き、あたしは鏡の前に座る。


ゆっくりと深呼吸をし、ハサミに手を伸ばす。


そして胸下まであった髪をバッサリと、切る。


ベリーショトにまで、、、


切り終わった後、あたしは、、、泣いていた。


違う、自分になりたかった。


魔法の手なんて、いらなかった。


普通に、何処にでも居るスタイリストになりたかった。


でも、それは、、、


「魔法の手」を手にして時点で、あたしには、用意されていなかったんだ。


なら、、、


あたしは、周りが望むあたしとしてしか、、、生きられない。


だったら、周りが望むあたしに、、、


あたしは、なってやる。

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