彼は、魔法使い
いつものように、お店の後片付けをしていた。


「あ、、、えっと」


レセプションの方から、困ったような志麻さんの言葉が聞こえて来た。


來都もそれに気付いたようで、2人で顔を見合わせる。


あの口喧嘩の後、特に仲直りと言うものしたわけじゃない。


だけど、次の日。


いつもと変わらないように、口を聞いていた。


そこは「兄弟」と言うべきか、なんと言うか、、、


「なぁ。今、志麻さんが誰と話しているか、気付いたかも」

「、、、あたしも」


でも、彼はパリに居るはず、、、


彼だって、そうそう暇なわけじゃないだろう。


けど、確かに彼の声も聞こえた。


そう思っていると、あたしと來都の予想通りの人が現れる。

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