99%片思い
「どうしたの?」


あたしは、声がした方へ顔を向ける。

そこには、男の人がいる。
大地とも、空とも春とも、全然違う感じの人。
中学生の、あたしから見れば大人って気がする。

大人びた、整った顔立ち。


見とれてしまう。

「どうしたの?」

もう1回、あたしに聞いてくる。

「あ、フラレちゃって」

あたしは、へらへらと笑いながらいった。
でも、涙が流れる。


笑いながら、泣くなんて――……。
やってることが、矛盾だらけだよ。

「そっか、そっか」

そう言って、あたしの横に来て、頭を撫でる。
髪をぐしゃぐしゃにしていく。


知らない人は、苦手だけど、この人は平気みたい。
変だね、あたし。


「あの、名前は?」

あたしは、勇気を振り絞って聞く。
彼は、笑顔でこたえる。


「三田龍、君は?」

「境坂夕美です」

あたしは、笑顔でこたえる。


「そっか、じゃーね! あっ! 俺、今から、高校戻るんだけど、一緒に行く?」


高校に戻る?高校生なんだ――……。
そりゃ、大人びてるよなー。

「あ、邪魔じゃないですか?」


「だいじょーぶ! 男子校だから女子来たら喜ぶし。部活に行くだけだし」


「じゃあ、遠慮なく」



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