99%片思い
「あー――! 龍が女連れとるー、もしや新カノ?」

なんだか、ハイテンションな人。
これが、あいつの第一印象だった。

これから、あたしに関係するなんて思ってもいなかった。

「ちがう、友達!」

「ほんとにー? あ、俺は三井崇よろしゅう」

崇君はあたしににこっと微笑んできた。

一見、怖そうなのに、こんな子供っぽく笑うんだ。
なんだか、可愛い。

「えっと、境坂夕美です」

あたしは、ぺこりと頭を下げた。

一応、かなり年上の人だし。

「可愛いねぇ、おっ! そんなことより、今日は帰ってええぞ~」

崇君は、あたしと龍を交互に見ながらそう言った。

「まじすかっ? じゃあ、夕美行こう」

龍は、いきなりあたしの手を取り歩き出す。

あたしは、イマイチ状況がつかめず、ただついていく。
あたしは、龍の背中を見つめながら大地を思い出す。

ずっと、ずっと好きだった人のことを。


なんだか、少し雰囲気が似てる龍と尚。
重ねている気がする。

「…みっ! 夕美!」

「へっ?」

あたしは、いきなり呼ばれて間抜けな声が出た。

「なぁ、単刀直入で悪いんだけど、俺と付き合わん?」

え?ええええええ?

時が、一瞬止まった感じがした。
周りが、モノクロで見える。


これは、夢?

「あ、あの、え?」

「返事は、いつでもいいから! じゃっ! あ、あとこれ俺のメルアド」

そう言って、あたしに一枚の紙をくれた。

そして、走り去っていく。

あたしは、それをただ呆然と見つめるだけ。
あたしは、どっちに行けばいいの?
新しい道?それともーー……。


今まで、歩んできた、大事な大事な道?



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