私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
◇第12章:宇ノ島での取材と撮影日
 そして宇ノ島近辺にある海の家にて取材と撮影を行う日となり、移動時間がかかるため四つ葉出版社には早朝集合となった。

 今は四つ葉出版社の編集部フロアで、姫川編集長と取材についての最終確認をしている。

「俺たちが海の家の中で取材をしている間は、水瀬たちがモデルの撮影を屋外で行う。その後は海の家の中でモデルが料理を食べるカットになるから、俺たちはその料理を海の家のスタッフに作ってもらい、俺たちでセッティングをする」
「分かりました。料理をしているカットは何枚入れますか?」
「2枚は欲しいところだな。どの料理にするかは現地で判断する。今日は長いから忘れ物が無いようにしろ。行くぞ」
「はい」

 打ち合わせを終えて、バックにノートパソコンを詰め、いよいよ宇ノ島へ向けて出発をするために四つ葉出版社を出て、入口前に停めているワゴンに乗る。

 今回は電車ではなくてワゴンをレンタルし、水瀬編集長率いるファッション部の同僚とたちと一緒に同乗して行くのだ。

 座席はくじ引きで決めて、運転席は水瀬編集長、助手席に姫川編集長、その後ろに私とファッション部の同僚たちが座り、ちょっとした修学旅行気分だなぁと内心思いながらワゴンは走り出す。

 私は車の外を眺めるとまだ高速道路を南下して、景色も都心や住宅街ばかりで、やっぱ海まで距離があるなぁ。

「ふぁ…」

 長いこと運転をしている水瀬編集長に気づかれないように小さく欠伸をし、腕時計の時間を見ると午前7時過ぎだった。

 今頃ヒデコ婆ちゃんが作ったお弁当を持って、海斗さんは宇ノ島近くの海に出ているのかな?

 もし会えることが出来たら、少しだけ時間を貰ってこの間のことを謝りたいな。

 謝って済むことじゃないけれど、私が言った一言で海斗さんをあんなに哀しい表情をさせてしまったから、ちゃんと謝りたい。
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