私が恋した男(旧題：ナツコイ～海男と都会男～)

「イテテっ、何すんだよ？！」

　私は瞼をそ～っと開くとナンパ軍団達が踞っていて、そして私の前に心の中で叫んだ人が立っていた。

「あんた、怪我はないか？」
「怪我はしていません」

　海斗さんは私を後ろに立たせ、ナンパ軍団達を見下ろす。

「んだよ、邪魔すんなよ！」

　ナンパ軍団達が立ち上がって海斗さんを睨むから、人数的に海斗さんが不利でこれ以上は危ないと思って、私は海斗さんの洋服をキュッと掴む。

「大丈夫だ」

　海斗さんは私が洋服を掴んでいる手を握るんだけど、さっきのナンパ軍団よりも海斗さんに手を握られている方が安心する。

「お前ら早く帰れ。でないと漁船に乗せて海に突き落とす。お前らの親父たちと俺は漁師仲間だから、抵抗しても無駄だ」
「なっ？！」
「俺オヤジが恐いから、帰るわ」
「待てよ！」

　海斗さんに言われ、ナンパ軍団たちは私たちのところから去っていった。

「海斗さん、ありがとうございます」
「別に、ああいう奴らが嫌いなだけだ。仲間の中に息子がいて、写真でみたことがあった」
「そうなんですね」

　海に連れ出すなんて、漁師なりの更正方法だよね。

「送ってく」
「あっ……」

　海斗さんは私の手を握ったまま、歩きだした。