私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
やがて私たちは、一軒のこじんまりとしたお店の前に到着した。
「姫川編集長、ここのお店は?」
「これから取材する店だ。いいか、カメラでの撮影は店主の許可を得てからで、外観、店内で必要だと思ったものを俺が撮る」
「えっ、ちょっと待ってください、メモしますから!!」
私は慌てて鞄からメモ帳とペンを取り出して、仕事の流れを書く。
「今日は店のメニューを食べて、その後は取材だ。基本的に俺が店主に取材するから、お前は隣でレコーダーと筆記で同時に取材の記録をしろ。四つ葉に戻ったら、すぐ"文字起こし"だ」
「はい」
姫川編集長の口から仕事の流れが次々と出され、メモ帳はみみずがくったくしたような文字で一杯になる。
"文字起こし"とは出版業界の用語で、インタビューをしたメモ帳の内容をパソコンに打ち込むことの意味だ。
「大体のやり方は解かったか?」
「大体は……」
「なんだそりゃ」
私の曖昧な返事に、姫川編集長は呆れながら手でもじゃもじゃしている髪の毛をがしがしと掻く。
だってお店に来たと思ったら取材だし、仕事の流れの説明も突然なんだもの。
私は改めてお店を見渡してみると、このお店は造りが木造だけれど周囲の洋風な住宅と違和感がなくて溶け込んでいる。
その場所にあるのが当たり前というか自然というかな、看板は小さく掲げられ、筆字で【もりや】と書かれていた。
そして玄関のそばには立て看板があり、そこには手書きのメニュー表が貼られている。
私はメニュー表を見てみると品数は『鶏のから揚げ』、『魚定食』、『本日の定食』の3つ。
お店の窓が少しだけ開かれていて、そこから美味しそうな匂いにつられて、自分のお腹が思いっきり鳴っちゃった。
「お前の腹のほうが素直だな」
「もー、笑わないでください!!」
姫川編集長は肩を震わせて笑いを堪えながら玄関の引き戸を横に動かして中に入り、私は顔がボッっと火がついたように熱くさせながら中に入った。
時間的にお昼だから、お腹だって空いちゃうのは仕方ないじゃない。
「姫川編集長、ここのお店は?」
「これから取材する店だ。いいか、カメラでの撮影は店主の許可を得てからで、外観、店内で必要だと思ったものを俺が撮る」
「えっ、ちょっと待ってください、メモしますから!!」
私は慌てて鞄からメモ帳とペンを取り出して、仕事の流れを書く。
「今日は店のメニューを食べて、その後は取材だ。基本的に俺が店主に取材するから、お前は隣でレコーダーと筆記で同時に取材の記録をしろ。四つ葉に戻ったら、すぐ"文字起こし"だ」
「はい」
姫川編集長の口から仕事の流れが次々と出され、メモ帳はみみずがくったくしたような文字で一杯になる。
"文字起こし"とは出版業界の用語で、インタビューをしたメモ帳の内容をパソコンに打ち込むことの意味だ。
「大体のやり方は解かったか?」
「大体は……」
「なんだそりゃ」
私の曖昧な返事に、姫川編集長は呆れながら手でもじゃもじゃしている髪の毛をがしがしと掻く。
だってお店に来たと思ったら取材だし、仕事の流れの説明も突然なんだもの。
私は改めてお店を見渡してみると、このお店は造りが木造だけれど周囲の洋風な住宅と違和感がなくて溶け込んでいる。
その場所にあるのが当たり前というか自然というかな、看板は小さく掲げられ、筆字で【もりや】と書かれていた。
そして玄関のそばには立て看板があり、そこには手書きのメニュー表が貼られている。
私はメニュー表を見てみると品数は『鶏のから揚げ』、『魚定食』、『本日の定食』の3つ。
お店の窓が少しだけ開かれていて、そこから美味しそうな匂いにつられて、自分のお腹が思いっきり鳴っちゃった。
「お前の腹のほうが素直だな」
「もー、笑わないでください!!」
姫川編集長は肩を震わせて笑いを堪えながら玄関の引き戸を横に動かして中に入り、私は顔がボッっと火がついたように熱くさせながら中に入った。
時間的にお昼だから、お腹だって空いちゃうのは仕方ないじゃない。