私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
ダッシュで藍山駅に向かい、切符売り場で駅員さんに宇ノ島近辺に早く着く時刻を教えてもらい特急券を買った。

そして改札を通ってホームで電車がくるのを待つんだけどもっと早く着ける電車はないのかな?とスマホで時刻表を調べるけど、結果は駅員さんが教えてくれた時刻が最短で、仕方なく時刻通りに従う。

『間もなく電車が参ります』

場内アナウンスが流れ、ホームに電車が入ってきた。

此処等から電車を2回乗り換えなくちゃいけなくて、早く目的地につかないかとそわそわしながら窓の外に流れる景色を見続けた。

早く会いたい…、会って、海斗さんの気持ちを知りたいよ。

乗り換えを2回して、電車から見える街の景色は徐々に変化して、もうすぐ宇ノ島近辺の駅に着こうとして、空は昼間だから青く、雲が1つもなくて夏空だ。

『間もなく宇ノ島駅に到着します』

車内アナウンスが流れ、いよいよ目的地の宇ノ島近辺の駅に停まり、私は電車を降りてまっすぐ改札に向かった。

急いでるのもあって自動改札機を通らず、駅員さんがいる窓口に切符を置いて改札口を出たら今日はいつにも増して人が多い。

駅前を歩く人たちに視線を送ると浴衣を着た女性がちらほらといて、お祭りでもあるのかな?

そんなことよりも先ずは海斗さんを探さなくちゃ、海斗さんと連絡先なんて交換してないから自力で探すしかない。

「思い付く場所から行ってみるしかないよね」

まず海の家に向かって走るけど、もう少し動きやすい服装にすれば良かったかと反省しつつ、通りを歩く人にぶつからないように走って海の家を目指す。

「もう少し…」

息切れしながらも走り続け、海の家が見えてきた!海斗さん、いるかな?

「こんにちわ」
「ああ!四つ葉出版社の人!」

 私が海の家に入ると、オーナーが居た。

「すいません、海斗さんはいらっしゃいますか?」
「海斗なら漁に出てるよ」
「漁にですか?」
「材料が足りなくて、朝から出てもらってるから、そろそろ帰ってくるとは思うんだけどヨシハラのお爺さんなら戻る時間がわかるかも。いつも定食屋の外で船をみてるからね、行ってみるといいよ」

 オーナーがにっこりと微笑む。

「お爺さんの所に行ってみます、ありがとうございました!」

 私はオーナーにお礼を言って、ヨシハラのお爺さんの所に向かって走った。
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