私が恋した男(旧題:ナツコイ~海男と都会男~)
 土曜日になり、今日はF市宇ノ島近辺を取材するから、今回も動きやすいようにボトムはデニムを選んで、トップスにはポロシャツ、帽子は…前回海に落ちたことを踏まえると被るのは止めよう。

 デジカメは壊れちゃったから、今回はスマホのカメラ機能で撮影することにして、取材に必要な持ち物を指さしで確認して、姫川編集長との待ち合わせをしている駅へ向かった。

「そうだ、ヒデ子婆ちゃんにお土産を買っていこう」

 待ち合わせした駅は大きな駅だからお土産屋も沢山あるだろうし、喜んでくれると嬉しいなぁ。

 駅の切符売り場前に立つと人が多くて、人酔いしそう。

 姫川編集長は未だかな?周辺をキョロキョロ見ながら姫川編集長を探すと、人混みの中から見慣れたモジャモジャとした髪の毛が見えて、一発で姫川編集長だと解った。

 相変わらずだるそうに歩いてるけれど、服装がいつもと違う!

普段はYシャツの袖をまくってたりしているけど、今日はTシャツにデニムの服装で、姫川編集長の肌は小麦色をしているからTシャツがよく似合っているし、胸板は厚みがありガタイが良いかも。

「待たせたな。切符は買ってあるから、行くぞ」
「はい。切符を買っていただいて、ありがとうございます」

 姫川編集長から切符を受け取って2人で改札機を通ると、ヒデ子婆ちゃんへのお土産を買っていないことを思い出す。
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