俺の妹が可愛すぎて。


「……それより人のことばっか心配して自分はいいわけ?」


少しだけ真剣に、でもなんか口元が緩みそうな…何とも言えない風馬の表情。


「……何のこと?」


そう訊くと風馬は俺の腕を引っ張り、引き寄せる。

そして、耳元で言われた言葉に胸を殴られたみたいな衝撃が走る。






「……優花のこと……

………好きなんだろ?」



胸が殴られたと言うより、えぐられた…そんな風に例えたほうが正しいかもしれない。


えぐられてなくなった胸は、一瞬呼吸を忘れた。



「………図星?」


なんでだろう。

晴のときなら、うまくかわせたのに。


風馬にそう訊かれると、かわし方がわからなかった。

優花の弟だからだろうか。


「……いいじゃん?俺、応援するよ」


へ?


そう笑顔で話す風馬の笑顔はなんだかとても優しい。


「なんか面白そうだし♪

協力してやるよ。心配すんなよ、誰にも言わないから」


そう言って風馬は俺の肩を笑顔でポンッと叩いて、先にバスへと乗り込んで行った。


さっきまで風馬をからかって遊んでいた俺は、その風馬に黙らされてしまった。



協力してやるって………


もう諦めようとしてんのに、協力されるとかなり困る……。


だけど、「応援するよ」と笑顔で言った風馬になぜだか言い返す言葉が見つからなかった。


否定が出来なかった。


もう……

気持ちを否定するのも難しい……

そんなところまできてるんだろうか。





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