俺の妹が可愛すぎて。


何の問題もない普通の関係なら、そりゃ風馬が言うみたいに、グズグズしてる場合なんかじゃないし、晴にだって宣戦布告してると思う。


だけど、俺と優花は何の問題もない関係なんかじゃない。


だから、自分の気持ちをセーブしなければならない。


これ以上……好きになっちゃったら、もう……自分を抑えられなくなるから…。




「遊園地なんてすっごく久しぶり♪風馬とあたしがまだ小学生の時にパパと行って以来だな〜」


電車の窓から映る景色に目を移しながら、優花が目を細めて話す。


学校の最寄り駅で、晴達と待ち合わせをし、そこから一緒に遊園地まで向かうことになった。

そしてその駅までの間、俺と優花は二人電車に揺られる。


「……ユキちゃん?なんか元気ない?」


優花が心配そうに俺の顔を覗き込む。

キラキラした大きな瞳に捉えられ、うわの空だった俺は我にかえる。


「え、あ、ごめん。なんかまだ目覚めてないみたい」


慌てて見つけた嘘を言って、優花を安心させた。

すると、優花は心配そうだった表情から急に笑顔になる。


「ふふふ。遠足の前の日に、楽しみでなかなか寝れない子とかいたよね?」


そう優花が笑う。

俺が嘘をついたことで、俺は勝手に『遊園地が楽しみすぎて眠れなかった』、そう思われたらしい。

まぁ、別にいいけど。


今日の優花は、ふんわりとした白のスカートに髪は下ろして毛先をゆるく巻いている。

いつもの制服や部屋着と違う優花は、なんだか新鮮でますます可愛く見えてしまう。


晴との球技大会の出来事から、なんとなく自分の気持ちに気づいてしまってからは、優花の仕草や話し方や笑顔にいちいち余計に前より反応してしまっている気がする。

だから厄介だし、避けようと思えば思うほど、それはなかなかうまくいかない。


いっそ嫌われたほうが楽なんじゃないかとさえ思えてくる。





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