俺の妹が可愛すぎて。
「あ、松丘くん、ごめん。……松丘くん…どうしたの?」
松丘くんは黙ったまま一点を見つめて動かなかったので、怒らせてしまったのかと不安になりながら、松丘くんの顔を覗き込む。
すると、松丘くんはその一点を指差したかと思うと力強く言った。
「優花ちゃん!あれ、乗らない?」
松丘くんが指差した先にあったのは、観覧車だった。
「……観覧車?」
「うん。あれ乗れば、園内見渡せるからユキ達見つかるんじゃない?」
「……う〜ん……でも…」
「いこ!いこ!」
半ば強引に松丘くんに誘われ、あたしと松丘くんは観覧車に乗ることにした。
観覧車なんて密室だし、あたしとしては観覧車は恋人と乗りたかったのになぁ…なんて夢見てたけど。
でも松丘くんの言うとおり、園内を見渡せるからユキちゃん達見つかるかもしれない……
そんな期待を抱きつつ、観覧車に乗った。
ゆっくりと上へ上がっていくゴンドラ。
上がっていく途中で、あたしは思い出した。
「あ。あたし……高いとこ、苦手だったんだった…」
「え?!そうなの?!」
「………うん」
ユキちゃん達を見つけなきゃって必死で乗ったから忘れていた。
「……大丈夫。外見ないようにする!」
「え〜(笑)ユキ達探せないじゃん」
幸い、スケルトンゴンドラではないから下は見えないけど……
でも少しづつ上がっていくのは空を見ればわかることで。
もうそろそろ頂上かもしれないと思ったころ、やっぱり怖くなってきて目を閉じた。
せっかくユキちゃん達を探そうと思ったのに、怖くて外を見れない。そんな自分が少し情けない。
早く下に降りたいよ〜……
そう思っていた時……
あたしの両肩に何か温もりを感じ、次に感じたのは、松丘くんのあのキツイ香水の香りだった。
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