俺の妹が可愛すぎて。
「……そうなんだ」
何にも知らないふりをして、笑ってそう言った。
さっきまで元気だった松丘くんはなんだか元気がなく、ゴンドラが下に降りるまでずっと黙ったままだった。
長い長い観覧車をようやく降り、笑顔で観覧車の順番を待つ人とは逆にあたし達はなんだか重い空気のまま降りた。
このまま松丘くんと二人きりも気まずいけど……今、ユキちゃん達に会いたくない。
こんな泣きはらした顔……またユキちゃんを心配させちゃう……。
そう俯きながら、松丘くんの後を歩いていると、「あ、ユキだ」と松丘くんが呟いた。
顔を上げると、少し遠くの方でユキちゃんと透子ちゃんがいた。
二人は何か話をしているようだった。
すると、松丘くんが「お〜い!ユキ!透子!」と大声で手を降った。
松丘くんの声に、二人がこちらの存在に気づく。
松丘くんが小走りで二人の元へ走っていく。
あたしはゆっくりと近づいて行った。
「やっと見つけた〜。どこ行ってたんだよ〜」
「は?どこってお前が…」
「しっ〜!!!!」
ユキちゃんの言葉を遮って、 松丘くんが人差し指を口元に当てる。
………?
どうしたんだろう……?
「……わりぃ。今日、ちょっと俺調子悪くって…先帰らせてもらうわ。透子、着いてきて」
松丘くんはそう言うと透子ちゃんの腕をガシッと掴んで、遊園地の出口の方へと歩いていく。
「は?!ちょっ、ちょっと!あたし、まだユキに話が……」
「いいから、いいから!マジで気分悪いんだって、俺!一人で帰って途中で倒れたらどうすんだよ?」
透子ちゃんの抵抗も虚しく、松丘くんは強引に透子ちゃんを連れていってしまった。
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