俺の妹が可愛すぎて。


優花への気持ちは、ただ『好き』というたった二文字。

その二文字を言葉にして、声に発することだけ。

それだけで、優花には伝わるはずなのに……。


躊躇する。


……『好き』という言葉は、単純だけど難しい。



「………俺さ……」


ギリギリまで迷ったその二文字が、もう言葉として声になりそうになった時ーーー……






「あ!風馬……」


ビックリした表情の優花がそう言って、俺の後ろの方を指差した。


振り返ると、優花の声に気づいた風馬が『げっ…』という気まずそうな表情でこっちを見ていた。


しかも、隣には……



「あ!あん時のマネージャーの子」


俺と優花は顔を見合わせて、笑う。


そして、二人に近づいた。

すると、風馬の隣にいた例の芝野高のマネージャー・麻依ちゃんは俺らにペコッと頭を下げる。


「なにしてんだよ、んなとこで。デートか?(笑)」


茶化すように風馬にそう言うと、案の定風馬は顔を真っ赤にして焦っていた。


「ち、ちげぇよ!ってか、そっちだって、二人じゃんか」

「さっきまで晴とかいたもん。先帰っちゃったけど」


そうあくまでこっちは、ダブルデートであって、初めからデート目的で来たわけではない。

まぁ…後半は完全デートっぽかったけど。




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