俺の妹が可愛すぎて。
手を繋いだり、抱きしめてしまったりしたあの遊園地デートから、前よりも優花と仲良くしている俺に、風馬はよく茶化してくる。
応援するとか、アドバイスするとか言っていた割にはそんなことはなく、むしろ面白がっているように俺には見える。
一方の風馬だって、麻依ちゃんと仲良くやってるみたいだし、それについて俺が訊くと風馬は顔を真っ赤にして「うるせぇ!」と怒る。
だけど携帯を見てニヤついたり、部屋の向こうから電話で楽しそうに話す風馬の声が聞こえたりして、なんだかそれが微笑ましい。
風馬と麻依ちゃんのそんな仲を羨ましく思う一方で、気の毒なのは晴だった。
あの遊園地デートから、晴は意気消沈している。
授業はいつものことだけど、大好きな部活動ですら抜け殻みたいで全然やる気がない。
いつもならマネージャーになったばかりの優花に、透子そっちのけで色々教えてあげているのに、遊園地デートからは優花に話し掛けることがほとんどなかった。
『……最近、お前どうしたの?全然やる気なくね?目も死んでるけど』
部活動後、ロッカールームで着替えているときに晴に声をかけた。
『…え?あぁ……。……どうしたのって……優花ちゃんから色々訊いてんじゃねぇの?』
なんとも元気のないトーンで晴が話す。
『………最低なことしちゃったし、俺。……好きな子泣かすなんて、マジ、最悪……』
ロッカーの扉に額を押し付けながら、さみしそうに晴が呟いた。
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