俺の妹が可愛すぎて。
『…なんだよ、いつもの晴らしくねぇじゃん。いちいち、凹んでんなよ。それに、優花は涙脆いんだから、ちょっとビックリして泣いただけなんじゃねぇの?』
あくまで、晴を元気づけて応援するために言った。
晴が帰ったあと、泣いた優花を慰めて、また観覧車に乗って抱きしめたなんてことは言わなかった……いや、言えなかった。
『……ユキの前でも泣いたことあるんだ?優花ちゃん』
ロッカーに額を押し付けたまま、晴がチラッと俺を見る。
『…え……あぁ、うん。……駅で男に絡まれたときとか、俺がケガした時とか…泣いてたな…』
そう言うと、晴はため息をこぼしながらロッカーに預けていた身体を起こした。
『……俺……なんかわかっちゃったんだよなぁ……。観覧車乗った時。……いや、その前からなんとなく気づいてたけど』
『……何を?』
そう訊くと晴はなんとも寂しそうに微笑んで応えた。
『………多分、優花ちゃん……お前のこと、好きだよ』と。
晴がそう言う意味がまったく意味がわからなくて、言葉にならない表情をしていると晴がハハハと笑う。
『……お前だって、優花ちゃんのこと、本当は『妹』だなんて思ってねぇんだろ?』
……風馬にユキはわかりやすいと言われ、気をつけていたハズなのに、あの鈍感な晴にでさえ気づかれていた。
もちろん、そんなこと晴には認めてはいけないと『…んなわけねぇじゃん、バカかお前』と、カッターシャツを止めかけていた手を慌てて動かして何とも思ってない素振りを見せたのに、そんなの晴にはお見通しだったようだ。
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