俺の妹が可愛すぎて。


「……優花、まだ〜?」

「もうちょっと〜」


出かける用意を一緒にし始め、俺のほうが先に準備出来てしまうのは想像出来ていたけど…

女の準備ってマジで長い。

母さんとも出掛けるとなると、こんな風に玄関で待たされてしまうことは多々あった。

服が決まらない、髪型が決まらない、靴が決まらないと外に出掛ける前の女はめんどくさくて困る。

いつもと同じでいいのにと思ってしまう。


そんな風に玄関で優花を待っていると「ごめんなさい、お待たせしました〜」と、優花が階段から駆け足で降りてきた。

ロングスカートを履いた優花が慌てて降りてくるのが見えて、「んな、走ったらコケ…」と言いかけていると…


「わぁ!」


ドンッ……


案の定、ロングスカートに足を取られた優花がよろけて玄関で立っていた俺の胸にキャッチされる形になる。


「だから、言ったろうが」

「……へへ(笑)ごめん」


俺の胸に収まってしまった優花にそう言った瞬間、俺はあるものに目が止まった。


「…あ、それ。つけてくれてるんだ?」

「え?……あぁ、これ?」


俺の目線に気づいた優花は、首もとにつけていたネックレスに触れた。

そのネックレスは俺が遊園地デートの観覧車の中であげた、あのピンクゴールドのネックレスだった。


「うん、つけてるよ。お風呂の時と、寝る時以外はいつもつけてるの。すっごく気にいっちゃった」


そう言って笑う優花に、そのネックレスはほんとによく似合っていた。

優花っぽいと思った俺のチョイスは間違っていなかった。


「……そっか。いいじゃん、似合ってる」

「へへ(笑)ありがとう」

「じゃあ、行くか」

「うん」


優花がそんなに気に入ってくれたことの嬉しさと、

ネックレス見たついでに胸の谷間が見えた嬉しさが互角なことに少し情けないような、誇らしいような……


複雑な気持ちのまま、玄関の扉を開けた。






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