俺の妹が可愛すぎて。


「……ユキちゃん?」


そっと声をかけるが、彼は目を覚まさない。

あたしのお風呂が長かったから、待ちくたびれてしまったのだろうかと思い、喉が渇いたので水を飲もうとした時、あるものを見つけた。


「……これ…」


テーブルの上に空になった缶チューハイ。

もしかして、ユキちゃんが飲んだのかな……。


「ユキちゃん、こんなところで寝たら風邪ひいちゃうよ」


彼の肩を揺さぶって起こすと、ユキちゃんはムニャムニャ言いながら眩しそうに目を開けた。


「……んー……あ、優花だー」


トロンとした目であたしの名前を呼ぶユキちゃんを見て、いつもの彼ではないことに気づく。

声のトーンもなんだかホワホワしてるし、目もトロンとしてるし、顔もほんのり赤い。

空になった缶チューハイから、彼が酔っ払ってるのがわかった。



「……ユキちゃんは、これ飲んだの?これ、お酒だよ?」

「……へ……あぁ……そうなの〜?」


眠たそうなユキちゃんは頭をガシガシ掻きながらソファに座り直すと、また寝ようとする。


「もう、ユキちゃん。寝るならちゃんとベッドで寝なきゃダメだよ」


彼の肩を叩き、瞑っていた目を開けたユキちゃんがあたしを見てニッコリ笑う。


その笑顔を見て、胸がキュッて鳴るのがわかった。

彼の笑顔に胸がドキドキさせられるのなんて、今に始まったことじゃないのに、何度見ても慣れなくて…でも、とても安心する可愛い笑顔が好き。


「……優花も一緒に来て」

「……え……。…う、うん」


ニッコリ笑うユキちゃんに、素直に返事をしてしまう。


一緒にベッドに来てということが、もしかして……と余計胸をドキドキさせた。


少し怖い気持ちもあるけれど、あたしは彼となら……そうなっても別に構わないと思った。


例え、戸籍上は『お兄ちゃん』だとしても………。




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