俺の妹が可愛すぎて。


酔っているせいでヨタヨタ歩くユキちゃんの腕を首元で支え、階段を上がる。


「はい、着いたよ。ユキちゃん、Tシャツ着る?」


部屋につき、ベッドにユキちゃんを座らすと、近くに掛けてあったTシャツをユキちゃんに渡した。


けれど、彼は「暑いからいらな〜い」とTシャツを受け取らない代わりにあたしの腕を引っ張った。


「優花も一緒に寝るの〜」


まるで小さな子どもみたいに甘えるユキちゃんが可愛く思えて、あたしはユキちゃんの隣に座った。


「ふふ(笑)酔っ払ったユキちゃん可愛い〜」

「…え〜……優花の方が可愛いし」


眠たいのか目を擦りながら話すユキちゃん。


「……あたしのこと、可愛いって思ってくれてるの?」

「……うん。すっげぇ可愛い〜」


すると、彼はあたしと向かい合うように座るとあたしの肩にコテンと頭を置く。


「……ゆ、ユキちゃん……?」


彼の吐息が肩にかかり、近くにいるせいでドキドキする鼓動が彼に聞こえてしまわないか心配になる。


でも、肩から伝わる体温とあたしの大好きな彼の匂いを感じながら目を閉じていると、彼がそっと呟いた言葉に一瞬心臓が止まった。






「……好きだよ」






優しい声があたしの耳にそっと舞い込む。


「……え…?」


訊き返すと、彼はゆっくり身体を起こしてあたしの目を見つめる。

その彼の目はとても優しくて、とても綺麗な目をしていた。


「……ほ、本当…?……匂い…だけじゃなくて…?」


信じられなくて彼にそう訊くと、ユキちゃんはあたしの頭を撫でて優しく微笑む。



「……うん。……優花が好きだよ」



聞き間違いなんかじゃない。


目の前にいる彼は、ちゃんとあたしの目を見て「好きだ」と言ってくれた。


胸が熱くなるのと同時に、少しだけ涙が出そうで目頭まで熱くなる。



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