俺の妹が可愛すぎて。


* * *


その日からユキちゃんの顔をまともに見れなくなってしまった。

見れなくなっただけじゃない。


会話すらまともにできない。


あの日……


あんなにも近くに感じられて、想いまで伝えてしまったのに……。


なぜだか一気にユキちゃんを遠くに感じてしまった。




学校だって一緒に行っていたのに…


週明けの月曜日、あたしは時間をずらしてユキちゃんと登校しないように早めに家を出た。


「あ、透子ちゃん!」


学校の最寄駅。

降りたホームで透子ちゃんを見つけた。


「……あ。おはよう」


あたしの声に気づいた透子ちゃんが振り返る。


「……あれ、ユキは?」

「……え、あぁ……あたし、朝早く目覚めちゃって……早く来ちゃったんだ」

「……ふ〜ん。そう」

「透子ちゃんも早いね」

「私、今日日直だから」

「……そっか」


透子ちゃんとたわいもない話をしながら、学校へと向かう。


まだ少し早い時間のせいか、通学路に生徒は少なく、静かで和やかな時間が流れる。


「………そう言えば、栗原さん。土曜日、ユキとどこ行ってたの?慌ててたみたいだけど…」


ユキちゃんのことは触れないように色んな話をして、あたしの記憶を誤魔化していたのに、何も知らない透子ちゃんがさらりとユキちゃんの話題を振る。



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