俺の妹が可愛すぎて。


放課後。


いつもなら部活動へ行くのに、今日は行きたくない気分だった。


ユキちゃんがいて、気まずいのもあるし…

昼休みに透子ちゃんのことを訊いてから、とても部活動に出る気分ではなかった。


「……透子ちゃん、ごめん。今日、ちょっと体調悪くて…部活お休みしていいかな?」


HR後、あたしは透子ちゃんの席へ行き、そう断わる。


「…え、ほんと?大丈夫?……ユキに言った?」


あたしは首を横に振った。


「……そっか。一応、部活動お休みするときはキャプテンと先生に言わないといけないんだけど…。いいよ。今日はあたし言っといてあげる」

「……ありがとう。ごめんね」


透子ちゃんにそう謝って、あたしは教室を出た。



今日だけじゃなくて、多分これからもこのままじゃ出たくないなぁ……


ユキちゃんのユニフォーム姿やトレーニングしてるところを見るのが楽しみで、マネージャーになったのに……

透子ちゃんがあんなこと言うと思わなかったから……。


……あたし……

これから、ちゃんと透子ちゃんを応援できるのかな。


ユキちゃんをちゃんとお兄ちゃんとして見れるのかな……。




答えのない疑問ばかりで、頭がパンクしそうになる。


そんなことばかりぐるぐる考えて、俯き加減に歩いていると、校門を出た辺りのところで声をかけられた。



「……優花ちゃん!」



聞き覚えのある声でドキッとした。


だって……

その人は………。



「……久しぶり。元気そうだな」



転校する前の学校で交際をしつこく迫られていた一つ上の男の子。



「……なに、キョトンとしてんだよ?成宮 剛(なみや ごう)だよ。もしかして、名前も顔も忘れちゃった?」



あの頃金髪だった髪は黒く戻っていて、制服もだらしなく着ている感じだったのに、キチンと着ていて、あの頃の印象とは随分変わっていた。






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