俺の妹が可愛すぎて。


「……バス、出発する前からため息ばっかつくなよ、グズ」


相変わらず冷たくあしらう風馬は、窓の外を眺めながらぼんやり呟く。


俺のため息を合図に、隣の晴が思い出したように口を開く。


「……そういやユキさぁ、最近優花ちゃんとあんま喋ってなくない?喧嘩でもしてんの?」


今まさに、その人のことで悩んでいるというのに、晴はまた悩ますような質問をしてくる。


「……そういやそうだよね。夏休み前からじゃない?」


晴の質問に賛同したのか、晴の隣の持田まで俺に疑問をぶつけてくる。


どう答えていいのか迷ってる俺に、風馬が気付く。


「……ほら、グズグズしてっから周りの人まで変に思ってんじゃん」

「え?風馬はなんか知ってんの?」


俺越しに晴が風馬を覗き込む。


それでも黙ってる俺に、風馬がため息混じりに話す。


「……言っちゃえば?隠し通せないっしょ?今のユキじゃ」

「………」


確かに今黙っていたって、合宿中に根掘り葉堀り訊かれるのは目に見えているし、合宿中に優花と元の通りに戻る自信もあまりなかった。


ゆっくりとバスが目的地へと向かい始めた中、俺は今までの一通りのことを晴と持田に話すことにした。








「……やっぱり……ユキ、好きなんじゃん。俺が訊いたときは否定したり、黙り込んだりしたくせに」


話し終えると晴は唇を尖らせて拗ねて見せる。


「……それは悪かったよ。……だって、一応……『妹』だしさ…」


俺はブツブツそう言い訳をしながら、だんだん縮こまる。


「……でも、普通に何があったか訊けばいいんじゃないの?じゃなきゃ、前進めなくない?」


今だ唇を尖らせて拗ねている晴の隣で、持田がひょこっと顔を出し、俺に訊く。



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