俺の妹が可愛すぎて。

振りほどいた手に、男は少し驚きながら俺を睨んだ。


「なんだよ、あんた」


俺は優花の手を握って、優花をかばうように後ろに来させた。


「……コイツ、俺のんだけど。なんか言いたいことあるんなら、俺に言ってくれる?」


そう男にガン飛ばして言うと、男は何か言いたげだったが、何も言わず改札口の向こうへと歩いていった。


俺は男が見えなくなるまで、その方向を睨みつけていた。


しばらくして、優花が口を開いた。


「……あ、あの……ありがと」


振り返って見た優花の表情は、少しだけ目が潤んでいた。


「あ、うん。……大丈夫?……ごめん、なんか俺、割り込んでよかったのかな?……なんかヤバそうだと思って…。」

「……うん、大丈夫。……助けてくれてありがと」


優花はそう笑顔で言ったかと思うと、すぐ悲しそうな顔して、


「……怖かった……」


そう言って、握りしめたままの俺の手を少しだけ強く握り返した。


こんな時、普通に好意を持ってる女の子なら、多分抱きしめちゃうんだろうけど、この前晴に言われた言葉が脳裏をよぎって邪魔をする。


「ってか、この駅、利用すんの?…学校って確か双葉高じゃなかったっけ?」

「うん、そうなんだけど……。今日は、転校先の高校見にきたの。そしたら、駅で待ち伏せされてて……」

「……そっか」


………


なんか、嫌な沈黙……。


なんか話題を……。



「……ってか今更だけど、俺のこと忘れてないよね?」


今更ながら、不安に思ったことを訊いてみる。



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