俺の妹が可愛すぎて。


それを訊いて思わず苦笑いになる。


「……どうして、みんなそう言うの?ユキちゃんは『お兄ちゃん』なんだよ?」



成宮くんにも言われた。


それに……透子ちゃんにだって。



『……栗原さんって、ユキのこと好きじゃないの?』


合宿へ向かうバスの中で訊かれた。


あたしがあることを透子ちゃんに話したからだ。


『……どうして?ユキちゃんはお兄ちゃんだよ?』


今の松丘くんへの返事とまったく同じセリフをそのとき透子ちゃんに返した。



『……応援してって言ってるあたしが訊くのおかしいのかもしれないけど…なんとなくそう感じたの』

『……もう、変なこと言わないでよ。あたしはユキちゃんのこと、優しいお兄ちゃんって思ってる。だから、そんなこと思わないで、透子ちゃんはユキちゃんと両思いになるように頑張って』



思いっきり笑顔を作って、透子ちゃんにそう答えた。


無理してることは、自分が一番わかってる。


だけど、そう望むことが今のあたしには必要なんだ。



「……よりによって…なんでそうなるわけ?」

「……おかしい?もう、決めたことなの。だから……松丘くん、応援してよ」



頭を抱える松丘くんに優しく微笑んでそう言ったけど、松丘くんは笑ってくれなかった。


「……優花ちゃん…悪いけど、俺、あんまそれは応援したくない」

「………」

「………優花ちゃんも、ユキと一緒。嘘つくの上手くない。だから、わかる。……無理してるでしょ?今」


そう松丘くんに言われ、あたしは返す言葉が見つからなくて黙り込んだ。


もう…決めたの。


もう、これ以上彼を好きになんてならない。


もう、忘れるって。



あの波が、あたしの思いを連れ去ってくれればいいのに。






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