俺の妹が可愛すぎて。


「ふふ(笑)忘れてないよ、篠原ユキくんでしょ?あたしのことは覚えてる?」


優花は笑顔で、人差し指で自分の顔を指す。


「覚えてるよ(笑)栗原優花だろ?だから、助けたんじゃん」

「そっか(笑)よかった、覚えててくれてて」


優花は笑顔でそう言った。



あー……

マジで超可愛すぎるんだけど、コイツ。


そんな子が『妹』って……

嬉しいやら悲しいやら……。



「家まで送るよ。またアイツ来たら危ないし」

「え、でも……ここから、8駅も離れた駅だし……家、逆方向でしょ?」

「いいよ。このまま、一人で帰らせられねぇもん、心配で。俺、ケーゴさんの家行ったことなかったから、引越す前に一回見てみたかったし。……送らせて?」


「……うん。じゃあ……お言葉に甘えて」



さっき改札に行った男と会うのを避ける為、駅前で少し時間を潰してから、俺らは電車に乗った。


帰宅ラッシュにかぶってしまったのか、電車内は少し混雑していた。

空いてる座席がない為、俺と優花は扉側に向かい合わせで立ち、流れる景色を眺めていた。

電車の中で優花は、窓から見える建物を指差したりして、博物館や美術館だということを教えてくれたりした。


それを説明する優花の表情は、さっきとは違い、とても明るい表情と口調で話していた。

でも、なんだか無理して笑ってるみたいに見えた。


だから……


「……なぁ」

「ん?」

「……さっきの男って……優花とどういう関係?……元彼とか?」


思わず、そう訊いてしまった。


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