俺の妹が可愛すぎて。


『……は?今、なんて?』


聞き間違いか、ユキがふざけて言ってんのかと思った。


……でも、違った。



『……だから……透子と付き合うことにしたから』


ユキはマジだった。


『は?え?どういうこと?意味わかんねぇんだけど…』


優花に続いて、ユキまで……。

こいつら、いったい何がしたいわけ…?


『……優花に彼氏が出来たから、ユキも彼女ほし〜って思ったってこと?……んな感じで彼女とか作んなよ』


半ば飽きれた感じにそう訊いたけど、ユキは何か言いたそうな感じだったけど、何も言わなかった。


代わりになんとも切なそうに笑って「まぁ……そう言うことだから部活中とか茶化すなよ」って軽くあしらわれる。



荒川マネとこの状況で付き合うなんて、いつものユキなら考えられない。

絶対……普通じゃない。


優花と成宮のことが相当キツかったんだろう…ってユキ見たらわかる。


だから……何にも言い返せなかった。



『……まぁ……もう、俺疲れたから寝るわ…』


ユキのカミングアウトで余計疲れてしまった俺は、部屋を出た。


その部屋を出た瞬間、優花の部屋のドアが慌てた様子で閉められたのを見てしまった。


……多分、優花訊いてたな……


そう思った俺は、優花の部屋のドアをノックして、返事が返ってくるより先にドアを開けた。


部屋には案の定、ぎこちなくベッドに座る優花がいて、その表情はやっぱり泣きそうな顔をしていた。


パタンとドアを閉めて、俺はドアにもたれる。


『…さっきのユキとの会話、訊いてたっしょ?』


そう訊くと、優花は俯いてコクンと頷いた。


『……後悔……してんじゃねぇの?』

『………』


俯いたまま何も返事をしない優花。


自分が望んでそうしたくせに、なんでそんな顔するわけ?

……自業自得。


だから、注意してやったのに。


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