俺の妹が可愛すぎて。


『……いいの、これで。……透子ちゃんとユキちゃんが付き合えるようになってよかった…』


ちっとも良くないみたいに笑いやがって。

優花もユキも、どっちも想い合ってるくせに、なんで離れようとするんだろう。



『きょうだい』だから…なんて、そんなこと……どうでも良くね?



『……あっそ。……なら、もうちょっと嬉しそうに喜んだら?……んな、泣きそうな顔して』


そう言って、俺は部屋を出た。







「………どっちも……好き同士なのにな……どっちの気持ちも知ってるこっちにしたら、すっげぇムカつく……」


腕に絡まれていた麻依の手は、気づけば俺の手と絡まっていた。


「ほら、やっぱり風馬怒ってるー」

「……だって……。……本当に好きな人と付き合うんじゃなくて、その人を忘れる為に別の人と付き合ってんだろ、二人とも。……浮気とかよりタチわりぃよ」


「……じゃあ、風馬はどうしてあたしと付き合ってるの?」


そう言って麻依はギュッと俺の手を引っ張って歩く俺を静止させる。


俺を見上げるその表情は、ニッコリ笑って、ある言葉を早く言って欲しくて欲しくてたまらない感じに見えた。


早く早くー…と急かすその表情に負けてしまった俺は、観念して言葉にする。


今日は麻依が浴衣着てきて可愛いから特別……!……これからはそう簡単には言わないっ!と自分に言い聞かせて。



「……麻依が好きだからだよ」



多分、顔真っ赤になってると思う。


でも、それを言った途端俺より先に赤面したのは麻依だった。






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