俺の妹が可愛すぎて。
「なんでお前が顔真っ赤にするわけ?……早く言えって催促するような顔してたくせに」
そう言うと麻依は赤くなったほっぺを両手で包み込む。
「……だ、だって……風馬……あんまり、そういうこと言ってくれないから……。……いざ、言われるとすっごく照れちゃった……」
恥ずかしいのはこっちなんですけど…。
そんなに顔真っ赤にされたら余計恥ずかしい……だからあんま言いたくないんだよ。
「……もう……。……こっち…」
俺はそう麻依の手を引っ張って、人混みで溢れる歩道を外れ、ひと気のない路地へ連れて行く。
「…えっ、ちょっ…風馬、どこ行くの?……神社、こっちじゃないでしょ?」
とりあえず今は麻依の言葉は無視して、手を引っ張る。
ある程度人混みから外れた静かな場所へ着いた時、俺は麻依の背中をコンクリート壁にくっつけさせ、麻依の顔の横の壁に手をついた。
「……風……ん……」
麻依が大きな目で俺を見上げた瞬間、俺は麻依にキスをした。
三秒くらいの短いキス……。
今日の麻依が可愛すぎるから悪い。
祭りが始まる前に、こんなことしちゃって後で気まずくなんかならないだろうかと……多分、いつもの俺なら冷静に考えるのに……今日は暑いせいか、麻依のせいか、そんなこと考えんのさえ面倒くさかった。
唇をゆっくり離して、案の定麻依はまた顔を赤くして俯いた。
俺もすぐ照れてしまう方だが、多分俺より麻依のほうがその辺りはダメなようだ。
口では負けるけど、こういうことに関しては俺のほうがまだ余裕かも…。
「……なんか、言えよ」
いつまでも黙りこくっている麻依の頭に顎を乗せて、麻依の様子を面白がる。
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