俺の妹が可愛すぎて。
すると麻依は赤い顔したまま呟く。
「……てっきり……お祭り終わった帰り際にされるのかと思ってたのに……」
俺もそのつもりだった。
「……ファーストキス……しちゃったね…」
いつもお喋りでうるさい麻依が、この時ばかりは大人しくて……女の子なんだなって改めて思う。
俺に初めて声をかけてきた時もいきなりで、活発で積極的な麻依。
今、目の前で顔を赤くしてる麻依がいつも以上に可愛く思えて……
「……これから……もっとしてやるよ」
そう言って、二度目のキスをした。
* * *
神社の祭りは打ち上げ花火はなく、屋台メイン。
金魚すくいや射的、わた飴買ったりたこ焼き買って麻依と分けっこしたりして愉しんだ。
今頃、優花は成宮と…。
ユキは荒川マネと。
楽しんでんのかなって、合間合間に思い出していた。
本当は俺と麻依みたいに、ユキだって優花だって好きな人と楽しみたいはずなのに……このままでいいのかなって考える。
優花には勝手にすれば?って言っちゃったけど……
荒川マネと付き合うって訊いたときの優花の表情みれば、全然良くないみたいな顔してたし。
ユキだって……本当は荒川マネと付き合うなんてこと、良くないことだって思ってると思う。
前に進むつもりなのが、二人とも全然前になんか進んでない。
立ち止まったまま、時には相手のほうを振り返ってる。
そんな気がしてしょうがない。
二人の気持ちを知ってる俺は何をしてやれるんだろう。
……好き同士なのに、どっちも背を向けたままなんてやっぱりおかしい。
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