俺の妹が可愛すぎて。


「……ユキ、食べないの?」


神社の脇で座って、一個のかき氷を透子と二人で分けっこして食べていた。

ぼーっと人混みを眺めていた俺に、透子が声をかける。


「……あ、ちょうだい」


そう言って透子の食べかけていたかき氷をもらう。


何かを食べたり、何かをして遊んだり、何かを話していないと、俺はすぐ人混みん中で優花を捜してしまっていた。


見たところで、成宮と一緒に仲良さそうにしてるのを目の当たりにしてしまうだけとわかっているのに。


家でも優花を見ているし、あの合宿のあとだって、必要最低限の会話は出来ている。

なのに……


なんでこんなとこまで来ても優花を捜してしまうんだろう。


……隣には透子がいるのに。



「……ユキ、浴衣似合ってるね」


無愛想な透子がそう言って少しだけ笑う。


「……へ?マジ?…母さんがうるさいんだよ、買ったんだから着て!って。写メめっちゃ撮られたし…」

「ふふ(笑)実里さんらしい(笑)」


そんな風にあーだこーだ話していると、「みぃ〜つけたっ!」とでっかい声が聞こえた。


声の方を見ると、晴がこっちを指を指して笑っていた。隣には持田もいて、手を振っている。


「……げっ。うっせぇのが来やがった」



そう言うと晴はプンプン怒りながら、近寄ってくる。



「やっと見つけたぜ!ったく、電話出ろよ!何回電話したと思ってんだよ。デート中だからって無視はひでぇよ」

「え?電話してたの?全然、気づかなかったわ」


そう袖から携帯電話を出して確認すると、晴からの数回の着信履歴の他に、風馬からの着信履歴も一回あった。




< 214 / 315 >

この作品をシェア

pagetop