俺の妹が可愛すぎて。


しかも、ほんの数分前…。


「……あ、風馬からもかかってる。…なんだろ…」


隣ではまだ晴が無視していたことを怒っていたが、それを無視して、俺は風馬に電話をかけた。


数回のコール音のあと、風馬が電話に出た。


『もっしも〜し。……〜……〜〜…?』


晴の声がうるさくて聞こえなくて、俺は立ち上がってその場から離れる。


「もしもし?風馬?なんて?」

『…だから、今どこって』

「……今、晴と持田と透子と神社ん中いるけど?」

『マジ?ちょうどよかった』


電話の向こうの風馬の声が少し明るくなる。


『……今からこっち来てくんない?至急。ダッシュで』

「は?なんで?お前は今どこにいんの?」


確か風馬も麻依ちゃんと一緒に祭り行ったはずだよなぁ…とぼんやり考えていると、風馬が怪しいトーンで話す。


『……優花がピンチなんだよねー。足、ケガしちゃって。駅途中の道のひまわり咲いてる花壇知ってるっしょ?そこいるから来て』

『……は?なんで?成宮は?』



電話の向こうの『優花』という響きにドキッとする。

……もう、やっべ。絶対、俺病気。


こういちいち反応してたんじゃ、いつになっても諦められないんじゃねぇの。



『……成宮いないよ。優花、一人で座ってたの見つけたから』

「……じゃあ、お前が家まで送れよ。なんで俺が行くんだよ」

『俺は麻依送ってかなきゃいけねぇから。……優花のピンチ救うの…誰かさんしかいねぇじゃん。もう助けてやらねぇからなんて、よく言うぜ。……本当は優花に構いたくて構いたくて仕方ないくせに』


風馬の怪しいトーンは変わらなかった。


やってやったぜとでも思ってるんだろう。

マジで、風馬にはかなわない。





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