俺の妹が可愛すぎて。


「……誰から訊いたんだよ。優花?」

『優花しかいねぇじゃん。もうユキちゃんは助けてやらないって言ってたから来ないもんって拗ねてたけど?』

「……なんで拗ねてんだよ」

『……さぁね。本人に直接訊いてみたら?(笑)』


電話の向こうでニヤリと笑う風馬が想像できる。


『……来るの、来ないの?どっち?ユキ、来ねぇとまた可愛い可愛い優花ちゃんが誰かに絡まれんぞ』


そう半ば風馬に脅される。

っていうか、あれはあん時風馬が優花を一人になんかさせたせいだしっ!ってブツブツ文句を言いたかったが、何を言っても小悪魔風馬にからかわれそうなのでやめておく。


風馬に行くか、行かないか……

もうほぼ初めから決めていた返事を返して電話を切った。



「……風馬、なんか用だったのか?」


いつの間に買ってきたのか、晴はたこ焼きを熱そうにハフハフしながら訊く。


「あぁ……なんか優花がケガしたみたい。……ちょっと行ってくるわ」

「え〜マジ?大丈夫?」


持田が心配そうに訊く。


「……足って言ってたから、多分慣れない草履履いてたせいじゃね?……ごめんな、透子」


そう言うと、透子は黙ったまま首を横に振ってある物をカバンから差し出す。


「……ケガ…してるんでしょ?」


透子が差し出したのは、絆創膏だった。


「……サンキュ」


そう優しく笑って、絆創膏を受けとった。


「わりぃ。持田と晴、透子頼むな」

「おぅ!」


持田は笑顔で言ってくれて、晴は熱いたこ焼きを口いっぱいに入れて苦しそうにだけど手を振ってくれた。


それを見て、俺も笑いながら手を振って、その場をあとにした。





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