俺の妹が可愛すぎて。
「……あたしは、大丈夫だから。……あたしに、構わないでってこの前言ったじゃない」
拒み続ける優花に若干、イラッとした俺は優花の足のマメが潰れているところを人差し指で押した。
「いたっ…!」
「……ほら、いてぇーんだろ?さっさと貸せよ」
そう言うと、優花は「ユキちゃんのイジワル…」とボソッと言いながら渋々足を俺の方へと差し出す。
「……透子は大丈夫だから。晴も持田もいるし」
そう言いながら、優花の足の潰れたマメに透子からもらった絆創膏を貼ろうと取り出した。
「……ユキちゃん、絆創膏…持ってたの?」
「……いや、透子がくれた」
「………そうなんだ…」
そう言った優花の声は震えていて、顔を上げると、優花は涙を流しながら俯いていた。
「……なんで泣いてんだよ」
「………なんか……透子ちゃんに申し訳なくて…」
「……なんで?」
絆創膏を貼りながら訊く。
足のマメは意外に大きくて一枚では足らず、二枚目を取り出した。
「……だって……せっかくのお祭りだから……ユキちゃんと…楽しみたかったと思うのに……あたし、邪魔しちゃった…」
「……じゃあ、優花は?」
絆創膏を貼り終えて、優花を見上げた。
母さんの浴衣はレトロな柄で大人っぽい感じなのに、それとは対照的の泣き虫で甘えん坊な優花にとても似合っていた。
「……じゃあ、なんで優花は…成宮と一緒にいねぇの?」
「………」
「………足、痛くて歩けないんだったら、なんで成宮に助けてもらわねぇの?」
優花は黙ったままだった。
せっかくの祭りで、彼氏と楽しみたいんじゃないか…
優花が透子にそう感じるのだったら、今、なんで優花の隣には成宮がいないんだろう。
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